古備前 優品 (2)小蕪徳利
古備前コレクターの『Hコレクション』より優品を紹介します。
小蕪徳利
桃山時代の作。
この蕪徳利の見どころは胡麻禿と思います。
窯の中で湿気が多かったり、温度が低かったりするとカセ胡麻という焼きになります。
カセ胡麻は触ったりして、表面の胡麻が剝がれ胡麻禿になります。
今では、欠品とされることもあるのですが、備前焼を好む人の中では逆に珍重されます。
この蕪徳利で胡麻禿の魅力が解ると思います。
作家(職人?)の感性とその後の所有者の扱いで、400年以上の変化でこの姿になったのです。
相当意識していると思いますが、小甕か壺の上に逆さに又斜めに窯詰し焼成しています。
底は箆で削りだした「箆目底」です。室町時代末期から続き現在でも多く行う底造りです。
更に何か徳利でも置いたのでしょうか。半月状に焼け抜けがあります。
肩と底に陶印があります。
火に当たってなく解る口のあたりのねっとりとした土味。桃山時代の優品として私は大好きな逸品です。
高さ188㎜、口径55㎜、胴径177㎜、底径116㎜ (備前焼陶友会・古備前鑑定書より)