備前焼の窯変(3)
備前焼は施釉した陶磁器にみられる表面的に華やかさはありません。
ただ、長時間焼成するので地肌に色々な様々な変化が見られます。これらが窯変です。
今回は『緋襷(ひだすき)』です。
緋襷
地肌が白っぽく、そこに緋色のラインが入った『緋襷』は白赤の対比が美しく、人気のある焼けです。
擂鉢など生活のための雑器として、限られたスペースで大量に焼くため、数枚を重ねて焼かれていました。
重ねて焼くので、くっつきを防ぐ目的で、作品と作品の間に稲ワラを入れて窯詰していました。
またその優美な美しさから、大甕(おおがめ)など大きな作品の中に徳利などを稲ワラを巻いて入れるようになりました。
備前の粘土は、直接炎にさらされない状態にして焼くと、白っぽくなります。そこに稲のワラを巻いておくとそのところで、胎土の鉄分と稲ワラのアルカリ分が化学変化を起こし赤く発色します。
登り窯では、大きな作品の中に入れたり、匣鉢(さや)に入れます。また一部屋すべて緋襷にするなら煙突から煙がでないのを目安に割木を少しずつ窯の焚口から入れていくと、きれいな緋襷ができます。
現在では、電気窯などを使用して緋襷を出すことも多いです。
赤く鮮やかな景色から、カップ、皿など食器類が多く、人気があります。
追記:緋襷を試される方に
稲ワラは十分良く叩いてください。私は餅をつく杵で叩いていますが、少なくても木槌では叩いてください。
巻くときに地肌に密着します。それと緋襷のところが白くガラス状になると手入れが大変ですし痕が残るのを防ぐことができます。それから手でよく揉んでから巻きます。
穂先もガラス状になりやすいので、取ります。
現在、農薬で穂を短く栽培しているので、長い稲ワラを手に入れるのは難しくなっています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
備前焼のオンラインショップ|興楽園
興楽園では、備前焼の湯呑みやお皿、花瓶や徳利などをメインに制作・販売しております。当窯元は江戸時代から16代続く伝統ある窯元です。現代の生活の中に寄り添い、溶け込むような作品を意識し制作に励んでおります。当窯元の製品を、心安らぐひと時や、大切な人との時間のアクセントとしてお使い頂く事をおすすめします。
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